今年はひさびさに、桜前線を追いかけて東北へと向かう。東京ではすっかり盛りの過ぎた桜だけれど、高速道路を北上していくと、まるで時間が巻き戻るみたいに桜の花がきれいになっていく。

今回訪れたのは福島の花見山。だいぶひさびさに行ったのだけど、時期はまさにソメイヨシノが満開のとき、春の盛りをふたたび東北で堪能してきた。在原業平が詠んだみたいに桜がなければ、桜前線追って北へ向かってみるなんて酔狂な旅もなかっただろうにと思うくらい桜には人の心を動かす力があるよなって思う。

「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」在原業平

昔、この風景をみたカメラマンが「福島に桃源郷あり」という言葉を残したみたいだが、目の前にひろがるのはまさにその言葉の通りの脳天気な風景。

花見山
花見山

そして、個人所有の山を開放してくれているというこの好意にすっかり甘えているわけだが、夢のなかみたいな景色は美しい夢をみるためにも一度はこの目に記憶しておいて損はない。

朝イチに到着したのだけど、あっという間に時間はすぎてランチの時間。福島の奥座敷と呼ばれる土湯温泉方面近くにある胡々里庵で蕎麦を食べる。

軽く素揚げしたそばがきは、外側のさくっとした食感となかのしっとりしたそばの風味が楽しい、そして蕎麦は透明感があって喉ごしだけじゃなく、食感もまた素敵。幸せな時間を過ごすことができる。

胡々里庵の胡々里膳

朝からあれこれ動き回っていたので、お昼過ぎには温泉へ行ってごろごろと休憩。谷あいにある小さな温泉街といった趣の土湯温泉は隠れた秘湯みたいな雰囲気で好きなところ。

福うさぎという旅館の日帰り温泉で源泉かけ流しの贅沢な温泉を心行くまでつかっていて、そのあとはノンアルコールビール飲んで昼寝。こんな幸せな午後はなかなかないんじゃないかと思う。

土湯温泉

夕暮れ近くなった頃に東北道から帰りがけに寄り道して三春の滝桜をみてくる。三大巨大桜に選ばれるくらい、1000年のときを越えて咲いている桜は圧倒的な存在感。この樹はここに居続けて色んなことを観てきたのだろうなあって思うと不思議な感覚がある。

きっと、江戸時代とかはちょっと前の出来事だろうし、そして、これから先数百年先経っても花を咲かせているのかと思うと、なんとなくこの世界は悪いもんでもないんじゃないかって思ったりする。

三春滝桜

高速道路を南下しての帰り道には晩ごはんをかねて、羽生パーキングエリアにある鬼平江戸処に立ち寄ることにする。池波正太郎の「鬼平犯科帳」の世界を再現したテーマパークといったところで、鬼平好きには感動するくらい楽しいところ。

とくに、グルメは見どころというか食べどころ。鬼平犯科帳を読んでいて「これってどういう料理だろう」という一本饂飩とかが食べられるだけでも楽しみがあるというもの。

鬼平江戸処

春の東北は日帰りでも充分過ぎるくらいに楽しめる、充実した土曜日の小旅行になった。

この旅の記録:行くぜ、東北。春のお花見福島編(2016年4月)

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