三菱一号館美術館で開催されていた「PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服」を観てきた。

このイベントを観に行く前に成実弘至の「20世紀ファッションの文化史」を読んでいたこともあり、予習に対してそれを実物をもってして確認するというような驚きというか楽しさがあった。

このイベントで紹介されているオートクチュールは19世紀末からスタートして、ちょうど本の内容と重なっている。ファッションひとつにしても、その社会的な背景も含めて理解していくのはすごく納得感がある。

オートクチュールとは、フランス語で”Haute Couture”(高級仕立て服)という意味であり、パリのクチュール組合に加盟しているメゾンで縫製されているというかなり狭い範囲の世界での話しなのだが、この仕組みをつくっていったのはイギリス生まれのチャールズ・ワースであるというのは興味深い。

20160501-20160501-P1050109そして、このイベントでも作品が紹介されているポール・ポワレへとつながっていき、ここで女性のコルセットからの解放という発明が出てくる。いまみると、狂気の沙汰から正気になったくらいのものだが、これは大きな話しなのだろうな。ドレスのヒップ部分をふくらませるために、生地を何枚も重ねていたのを金属製のワイヤーに変えるとかいうのもまたドレスの軽量化に大きく寄与したということだが、そもそもその形状のドレスがなぜ「美しい」とされていたのかというのもまたその時代の社会的な背景があったりして、みていて面白い。

オートクチュールの先駆者として大成功したポール・ポワレなのだけど、二代目になると過去の成功体験を引きずるがあまりに時代の変化についていけず20世紀半ばには消滅してしまうのだが、こういう風に過去や既存顧客の方ばかりみていて時代の変化を感じられないと生き残れないというのはどの業界でも同じ話だなというところ。

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それでいうと、たとえばジバンシィが初代の成功にとらわれてしずんでいたときに、アレキサンダー・マックイーンがよくも悪くも復活させたりするのは面白いところ。僕がみた限りにおいてはアレキサンダー・マックイーンがジバンシィの暗い雰囲気に光を差し込むみたいに鮮やかな変化をつけたっていうように見えるのだけど。

そして、シャネルはただの金持ちブランドだと思っていたのだけど、このイベントにおいてかなり革命的な変化をつけたのだなっていうことがよくわかった。なんていうか、ガラケーの時代に突然でてきたiPhoneみたいなインパクトがあったのではないかって思う。ごてごてとした世界のなかで突然、究極的にシンプルで、そして美しいものに出会ってしまったという体験のような感じがする。身体のラインを出すということもまた大きな変化だったのだな。

クリスチャン・ディオールもまた栄枯盛衰を経由しつつ生き残っているメゾンなのだと知った。時代の変化に対してあえてカウンターのようなものをぶつけているのはまた面白い。オートクチュールの世界は僕にとってはあまりにも縁遠いものだけど、これはこれで時代を写している美しい風景だなって思えるものだった。

PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服
会期:2016年3月4日-2016年5月22日
会場:三菱一号館美術館

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