2016年10月の北海道旅ははやくも晩秋の装いの風景だった。2015年9月下旬に訪れた北海道は初秋だったのに、2016年は10月上旬にはやくも晩秋の風景。地元の人にきいたところ「たしかに今年の秋ははやいけれど、毎年秋は一瞬の出来事」だという。そんな晩秋の北海道を巡る三泊四日の旅。

それにしても今回の旅ではやたらと空を眺めていた気がする。突然雨がさっと降った後には、空に虹がかかる風景を何度もみたし、夜は驚くくらいの空に砂糖をまぶしたような星空がひろがっている。

こんな旅だと自然とのんびりしてしまうものでレイドバックな感じの旅になった。ちょうどこの旅の間に読んでいた星野道夫の本の影響もあるかもしれないな。

今回の旅では星野道夫を読んでいた

バニラエアで成田から札幌まで往復して移動。成田空港の第三ターミナルはまだまだ慣れない感覚があるな。一方で新千歳空港はかなり楽しい

カルビーのショールームで揚げたてのポテトチップスを食べたり、グリコが新しく展開した生キャラメルを食べたり、空港全体が巨大な北海道物産展みたいな感じだ。

新千歳空港のキャラメルキッチン(CARAMEL KITCHEN)

新千歳空港からは予約していたレンタカーで移動する。道東自動車道が開通したので、美瑛までの道のりもこちらからのアクセスが近くなっている。

途中の富良野に立ち寄ってランチは名物になっている唯我独尊でカレーを食べることにする。地元の野菜や肉を使ったカレーは豪華でボリューム満点、少し高い観光地価格なところもあるけれど老舗の味は満足度が高い。一度は食べておいて損がない一品。

唯我独尊のオムソーセージカレー

道の席みたいなふらのマルシェではジェラートを食べたり、特産品を物色したり。富良野は改めてまた来てみたいなあと思いながら美瑛へと移動。

宿のチェックインまで時間があったので、パン工房のビブレで買い物をする。ミシュランで三つ星を獲得している札幌のモリエールのオーナーが新しく展開しているレストラン兼ベーカリーで、美瑛産の小麦やじゃがいもを使ったパンはずっしりと豊かな味わい。これを宿でワインを一緒に楽しむのが幸せな時間だったなあ。最高に幸せ。

ビブレで買ったパンとワイン

宿は美瑛の丘のなかにあるスプウン谷のザワザワ村という変わった名前のところ。予約サイトにはないところで、宿泊の3ヶ月前に電話で予約をするというのだがそれでもなかなか予約がとれないところで、今回はここに泊まるために旅をしているというところもある。

まるでイギリスのコッツウォルズみたいな風景の建物はオーナーの方が手作りで建てた家になっていて、壁の色合いとか建物のなかの居心地はあたたかい雰囲気でとても気持ちがいい。

スプウン谷のザワザワ村

テラスでお酒飲みながらぼけーっと丘の上を雲が通りすぎる風景を眺めていたり、日が暮れたら部屋の中にあるハンモックで本を読んだり、外にでて星空を眺めたり。一泊だとせわしない、二泊以上してこの風景になじむようにのんびりと過ごすのが幸せだ。

宿でもディナーの提供をしてくれるのだが、それは次回の楽しみにしておくことにして、今回は初日は美瑛選果のなかにあるアスペルジュというミシュラン一つ星のレストランに行くことにする。

地元の農協が運営しているとは思えないくらい洗練された料理はモリエールが関わっているだけある。それでいて手頃な価格なのでここでの地産地消ディナーは価値がある。ゆっくりとディナーを楽しむのがいい時間だ。

アスペルジュのディナー。サラダは美瑛産の野菜を使ったもの

もうひとつは美瑛の町外れにあるバローレという一軒家レストラン。

こちらはイタリアンがベースとなっているのだが地産地消というところではアスペルジュと同じコンセプトになっている。値段が手頃なランチが人気だが、こちらもディナーは訪れてよかったなあってしみじみ感じる料理が出てくる。それぞれの人柄が表れるあたたかい接客もまた魅力的ないいレストランだ。このふたつのレストランは美瑛の宝ものみたいなところだな。

バローレのディナー

そして、穴場なのはこれらのレストランにもコーヒー豆を卸している自家焙煎の北工房という喫茶店。すごくこだわったコーヒー豆と焙煎は確かな美味しさで、美瑛にこのお店があるから美味しい珈琲で料理を締めくくることができるのだなって思う。

木のぬくもりと大きなスピーカーから流れる音楽があたたかいこの喫茶店もまた美瑛で訪れてみる価値がある。

北工房

ザワザワ村から歩いて行けるところにある「あるうのぱいん」という有名店でのランチもまた楽しかった。自然酵母を使ったパンは素朴な味わいでビブレとはまた違ったアプローチで地産地消を解釈している。パンとしての美味しさはビブレだなと思ってしまうが、このパンもまた美味しい。ランチのチーズフォンデュは絶品だ。

チーズフォンデュセット

美瑛ではとくに写真を撮ってまわるということはなかったのだけど、どこの風景を切り取っても絵になるところ。ときどき車をとめてはのんびりと風景を眺めたりしていた。人の手によって開拓された人工的な自然ではあるが、こののんびりとした空気はいいよなあ。

美瑛では青い池を眺めてからふたたび富良野を通りすぎて十勝へと南へすすむ。2016年の北海道は台風の被害が甚大であちこちで道路が寸断されていた。南富良野では家が倒壊したまま放置されたりしていて、その被害の大きさに驚く。東京ではほとんどニュースになっていないと思うのだが、こんなにも被害があったとは。

十勝は今回も中札内にあるフェーリエンドルフに泊まる予定なので、帯広市内で食材を買い込むことにする。肉ノ五右衛門で十勝産の豚肉を買い、ワインプラザカワイでは十勝ワインの最高峰である赤ワインを買い求める。

ランチは帯広駅近くの精肉工房がやっている「ゆうたく」という食堂でとんかつを食べた。豚肉の甘さを感じる絶品のとんかつだった。ここの豚肉を堪能するには、タレで味付けされてしまった豚丼だけではもったいないなと思った瞬間だ。

十勝豚肉工房ゆうたく
肉ノ五右衛門

十勝平野をさらに南にすすみ中札内へと到着。道の駅でさらに食材を買いつつ、地元の人で人気のから揚げをまたもや買ってしまう。早々にチェックインして、このから揚げをつまみつつ、ビールを飲みながら夕食の仕込みをする時間がまた楽しい。

夕暮れ時にまわりを散歩したのだが、去年きたときと2週間くらいの時期の差なのにすっかり晩秋の空気になっていて驚く。そして、去年ここで出会ったやたら気さくな馬のアルフレッドを見かけないなと思ったら、2017年2月に亡くなったと聞いてショックをうける。あんな気立てのいい馬、そんなにいないよなあ。むちゃくちゃいいヤツだったのに。

夜は十勝産づくしの料理を作ってたらふく飲み食いしてしまった。暖炉の火もあたたかくて(というかそれくらい夜は冷え込んだ)、豊かで幸せな時間だなあってしみじみ思う。

夜は星空を眺めに少し散歩した。帯広空港から飛び立つ飛行機は東京方面へと向かって飛んでいくのがみえる。この自然のなかにあらがっているかのような一筋の光だなって思う。

飛行機が飛び去ってしまうとあたりは静かな夜がひろがり、空は天の川が見えるほどの星空。この空の美しさは本当にすごい。高いビルや映画館もない小さな町だけど、こんなにもすごい星空が気軽に見える豊かさは何ものにも変えがたい。

翌朝は早めにチェックアウトして十勝千年の森へと向かう。ここでセグウェイのツアーに参加。広大な農場跡地を公園にしているのだが、自然林と農場の風景がうまく融合していて本当にこの風景が千年先まで残るのは素敵なことだなって思う。丘の上から眺める十勝の風景もまた絶景だ。空が広い。

ランチも十勝千年の森にあるカフェで食べたのだが、これはちょっと残念な感じ。せっかくの素材なのにもったいないなあって思ってしまう。

そして、空港へと帰路につく。道東自動車道は人の気配があまりない殺風景なところなのだが、途中にある占冠パーキングエリアだけが賑わっているところ。ここでハスカップのソフトクリームを食べて空港へ。

色々あったようでのんびりと過ごしていた旅だったなあって思う。こんなに空を眺めて楽しんだ旅は久々だったかもしれないな。

帰りにハスカップソフトを食べる
占冠PA (上り/恵庭千歳方面)

この旅の記録:秋の美瑛、十勝。レイドバックな旅。(2016年10月)
前の旅の記録:初秋の北海道旅(2015年9月)

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