あまり自慢できることじゃありませんが、年に数回あるかという激しい二日酔いになりました。こちらに住んでいる方のはからいで上高地を案内してくれることになっているのですが、早朝に起きられたのは奇跡に近いことだなとか思ったりしている。昨晩、オールドロックで飲んでから宿に帰った記憶がおぼろげだものな。

紅葉シーズンまっさかりの上高地には通常であれば、沢渡の駐車場まで車でいってそこからシャトルバス、またはタクシーで移動するのが一般的。一般車の通行はできないのだけど、今回はちょっと事情があり一般車で上高地へと入って行くことになった。上高地への入口は警備員がたっていてチェックしているのだが、そこから先はいきなり長いトンネルになっていて、僕は二日酔いの苦しさしか覚えていない。

トンネルを出てさらに山道をしばらくすすむと鏡のように美しい池がみえてきた。この時点でもはや意識は朦朧としている。あとで、ここがあの有名な大正池だったのか!とわかったくらいだ。早朝の大正池は人も少なくて、ピンと張りつめた神聖な空気を感じる。この上高地は、もともとは「神垣内」と書いて穂高岳の神を祀っている場所らしい。そんな神聖な場所にこんな二日酔いのやつがいて本当に申し訳ない。

大正池

大正池は1915年の焼岳大噴火でできた池で、ここが池になってから100年ほどしか経っていない。しかし、この風景はもうずっとここにあるかのようだ。この場所は早朝にみた方が圧倒的に美しいと思う。うっすらと霧がかかる風景や鏡のように美しい水面には焼岳が映り込んでいる。まず最初にここに降りて上高地の風景を堪能するのがいい。車道が整備されているので車いすでのアクセスも可能。

そこからさらに車で上高地バスターミナルへと向かった。紅葉シーズンとはいえものすごい寒いなと思ったら気温0度だった。秋の上高地はすでに真冬の装備で来た方がいい。

朝食に蕎麦

上高地バスターミナルは道の駅みたいに整備されていて、僕みたいなノリでやってきた人間とこれから穂高岳や槍ヶ岳の方へ向かう本格的な登山者が交わっているところ。ここのトイレは非常にきれいに整備されていて感動した。

食堂もあって、朝食にあたたかい蕎麦を食べたのだが生き返る気持ちだった。この蕎麦を食べて二日酔いから復活したくらい。どうってことない蕎麦なのだが、記憶に残る蕎麦だなあ。

河童橋

ここに車をとめて、上高地を代表する風景である河童橋までは遊歩道みたいな平坦な道を数分進んでいく。芥川龍之介もこの橋を題材に小説を書いたこの橋から眺める穂高の風景は言葉で尽くせない圧倒的な風景。ちょっと恐さを感じるくらいだ。山岳信仰というものがあることを理解できるような気がする。そして、そこを登ってみたいと思う人がいることもわかる。どちらも自分にはないものだけど、この風景はすごい。

しかし、なにより寒くてお土産物屋さんへ避難する。ソフトクリームとか売ってて食べている人がいるのだが、ちょっと正気の沙汰かよって思ってしまう。とはいえ、すごく美味しそうに食べていたので僕も寒さに震えながら食べてみてしまったのだが。この河童橋までは誰でもアクセスできるので、高原リゾートとして素晴らしい風景を楽しめると思う。

上高地帝国ホテル

最後に上高地といえばという上高地帝国ホテルへ立ち寄り、ロビーのラウンジでのんびりと暖まるとする。この高級ホテルは宿泊するには値段のハードルが高いけれど、泊まらずとも立ち寄ってこの場所を感じるのはとても貴重な体験じゃないかなって思う。たとえ宿泊客じゃなくても接客は素晴らしいし、本当に居心地がいい場所だ。二日酔いからさめた僕はここで懲りずにグリューワインを飲んで身体をあたためるとする。

それにしても、数年前に立山をロープウェーなどを使って登っていき室堂の風景をみたときにも感じたのだが、かつては一部の人しかみられなかった自然がこんなにも身近に見ることができるようになる時代ってすごいなと思う。そして、こうした圧倒的な自然をみることで、どこか遠くにある、ほとんど誰も見たことのない自然であっても保護していく必要があるのだという気持ちにつながっていくんじゃないかなって感じたりする。

今度は二日酔いじゃなくて、ちゃんとしたときにきてしっかり自分の足で見てまわろう。

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