季節はすっかり秋めいてきて、芸術の秋っていう雰囲気。

ということにつられてってことではないのだが、群馬の中之条で2年ごとに開催されている「中之条ビエンナーレ」を観に行ってきた。僕のなかでは、数ある地方芸術祭のなかでは最も好きなもののひとつ。

美しい秋の里山風景とともにホスピタリティを感じる旅になった。

事前に前売りチケットを買っておいたので、まず向かったのは都心からだと最も遠くにある六合(くに)エリア。中之条からだと暮坂峠を越えるのでアクセスしづらいのだが、都心からだとバイパス&川沿いに上る比較的楽なルートでアクセスできるので、自分で車を運転してまわる場合には、まず六合から行くのがおすすめかも。

このエリアはとくに養蚕が盛んな場所だったということで、六合の中心地である赤岩地区は富岡製糸場とともに世界遺産への登録が検討されているみたい。世界遺産とかなってしまったら、色々面倒なことが増えそうなので、いまのうちにこの地区の美しい原風景を楽しんでおくのがいいかもしれない。

養蚕風景

中之条ビエンナーレについて、六合エリアはざっくりいうと、赤岩の集落地区と、それ以外というように分かれている。今回は野反湖の方にはスタンプ設置場所がないので、スタンプラリーをする分にはありがたいのだが、このエリアにも色々面白い作品があるので、時間があればそちらもおすすめ(僕は今回行っていないのだが)。

赤岩地区

どの家もきれいにしていて、あるお宅では朝顔でみどりのカーテンを作っていた

六合の中心的な集落、国道からのアクセスだと白砂川をはさんで対岸に位置していて、遠くから眺める集落が美しく展望台があるくらい(午後に行くのがおすすめ)。中之条ビエンナーレの鑑賞に来た人が赤岩地区には車で乗り入れるのが禁止されているので、集落の入口にある駐車場に車を停めて徒歩で移動することになる。

とはいえ、ゆっくり歩いても5~6分で集落の反対側まで行けるくらいの規模なので、むしろ散歩しながらのんびりみてまわるのが楽しい。

秋祭りでもらったトウモロコシ。うまい!

僕が訪れたときはちょうど秋祭りが開催されていて、集落の入口では蕎麦や採れたてのトウモロコシ、さらには焼肉までもが無料でふるまわれていた。なんという豪華なおもてなし&お祭りなんだ。さっそく頂いたのだが、もうこれでお昼ごはん代わりになるなっていうくらい満足できる量と味だった。

ということで、さっそく作品をみてまわることにする。

湯本家

赤岩地区で最も有名で目立つものは、湯本家というこの土地の名士のお宅。草津の温泉を発見した名門の家で、幕末には高野長英を匿っていたことでも有名。湯本家のなかには長英の間という滞在していた部屋が残っている。前回の中之条ビエンナーレでは、ここに猫の置物?みたいなものがあったのだが、どうやらその猫は去ってしまったらしく、今回は湯本俊斎という、この家出身の医者が収集した植物標本が多数展示されていて、これは植物学者、牧野富太郎博士の鑑定をうけたものだということ。普通ならこれ、博物館とかに入っているものだろう・・と思うのだが、そんなものが普通に家の壁に貼り付けてあって驚く。すごいコレクションだと思う。

湯本俊斎の植物標本コレクション

建物自体もみるべき物が多く、必見の建物になる。ただし、ここのビエンナーレのスタンプは押すのが難しかった・・・。

これ以外に印象に残った作品は、大石麻央さんのフェルトでできた動物たちの作品。去年、越後妻有の大地の芸術祭でみかけて超絶かわいかった印象があり、今回もまた「ブレなく、超絶に」かわいい動物たち。妙にリアルなのが、また面白くてまじまじと眺めてしまった。これ、今回の中之条ビエンナーレのなかで最も好きな作品のひとつ。ぜひ、みてみてほしい。

なんかいい味出している動物たち

六合のいいところは、この赤岩地区の町並みは風景にもあると感じていて、僕が好きなのは東堂から眺める谷の風景。白砂川によって削られた谷間に作られた耕作地には、ちょうどそばの花が満開に咲いていて雪が積もっているようで、そしてその手前では収穫間近の稲穂が黄金に輝いていて、そのコントラストはいつまでもみていたいなあと思えるものだった。

東堂からの風景

日陰地区、旧太子駅

今回の中之条ビエンナーレにおいて、赤岩地区以外での見所は日陰地区と、旧太子駅のふたつだと思う。どちらも赤岩地区から車で5分くらいと近いし、両方ともに駐車場があるので便利。赤岩からだとまず日陰に行って、そこにいるおじさんに旧太子駅への行き方を訊くのがおすすめ。

日陰地区の作品もやはり養蚕を意識したものとなっているように感じた。空を飛ぶ雲のような作品はストーリーがあって面白かったし、蔵のようなところにあった作品も光と影を使ったものとなっていて、みる角度によって感じる印象が異なるものだった。これはどちらもおすすめ。

 

そして、旧太子駅の廃墟。

中之条ビエンナーレの作品のなかで最もインパクトがあるところだと思う。どこにどう線路が通っていて駅舎があったのかはほとんど判別できないのだが、コンクリートの廃墟だけが残っていて、植物に覆われている様子はもはや遺跡というかラピュタのようでもある。この谷間を作った白砂川の力もそうだし、この廃墟を覆っている植物の力もだが、自然のもつ偉大な力を感じる作品とエリアだと思う。

旧太子駅

中之条ビエンナーレ

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