今回の旅における大きな目的のひとつは、水戸でやっている石川直樹の個展を観にいくこと。ちょっと意外だったのは初の大規模個展ということだ。登山家や探検家として有名になった人だけど、僕が思う印象は人を撮るカメラマンという感じ。

グラビア写真を撮るということではないけれど、各地を旅していきながら人を撮っていくというのは、独特の感覚があって観ていてひきこまれるし、またこの人の書く文章もまたシンプルな言葉で好きなのです。著書である「全ての装備を知恵に置き換えること」などはミニマリストという言葉ではくくりきれない豊かさがある。

フットワークの軽さを現しているいい本だなあと思う。そして、個人的には石川直樹がブータンを旅したときに現地の旅をアレンジした人が僕と同じ人で、ブムタンの宿では石川直樹が泊まった部屋に僕も泊まったということがあり勝手に親近感もったりしている。

ということで、気になっている作家でもあったし、ちょっと遠かったけれど観にいってよかったなあっていう感想。ひとつひとつの作品群はすでに発表されているもので目新しいということはないけれど、大判で観る写真は迫力があったり、細かいところに目がいったりして新鮮な感じがする。

そして、最近よくみかける合成写真みたいなものじゃない、生々しい写真の魅力こそがもっとも心に残る。「#ファインダー越しの世界」とは仮想じゃなくて、現実なんだよな。石川直樹もそうだし、いいカメラマンになるほどレンズはシンプルにいいものを使っていて、過度に沢山持っていないという印象がある。僕が好きなカメラマンという風に言い換えてもいいのかもしれないけれど。

私物コレクションがおもしろい
字がかわいい

今回の展示ではラストにある「タイムライン」がもっとも楽しかった。福島の中高生たちと演劇を作る過程で、一緒に過ごした時間を写真に収めたり、中高生にフィルムカメラで写真を撮ってもらったりしている。そこで見える風景は松尾芭蕉の言葉ではないけれど、生きている時間こそが旅であって、日常の風景もまた美しさを刻んでいるものなのだなということ。そして、記憶に残るのはこんな風などうってことのない日々の断片だったりする。

また、全ての写真展示が終わったあとに、その撮影の旅で使われていた私物などが展示されている。これが石川直樹さんの特徴ある直筆でかかれていたコメントを読みながら見ていくのも楽しい。書いてある言葉だけではなく、いい味がある文字を書くなあって思う。本人の人柄が出てきているみたいだ。

この展覧会は水戸だけでやるのはもったいない。東京でもやってくれればまた観にいきたいなって思えるものだった。

石川直樹 この星の光の地図を写す
会場:水戸芸術館
会期:2016年12月17日-2017年2月26日

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