日本にある美術館でもっとも好きなところのひとつ。春から夏にかけて定期的に訪れているのは、沼津にあるクレマチスの丘というところ。

ここは、スルガ銀行を作ったいくつかの美術館が集まっていて、とくにクレマチスが咲く春~夏は通り過ぎる風すら美しく香っているかのようで居心地がよくて好きな場所。沼津って漁港で魚食べるだけが観光じゃなくて、こんな素敵な場所もあるのです。

敷地内にあるレストランもすごく好きなのだが、今回はちょっとパスして美術館をみてまわることした。行ったのは、クレマチスガーデンが併設されているヴァンジ彫刻庭園美術館と、そこから少し離れたところにあるベルナール・ビュフェ美術館。

クレマチスの丘についたときは、夕方前でまだ太陽は高いところにいたのに、ちょっと涼しさを感じる空気は秋の気配がした。空もくっきりした夏の色じゃなくて、淡い青磁色の秋の空で、もう秋が近いのだなと感じてしまい、とくに理由はないけれど、なんとなくさびしい気持ちになる。

ヴァンジ彫刻庭園美術館のエントランス
壁をよじ登る男

ヴァンジ美術館は彫刻がメインになっていて、かなりゆったりとした空間のところどころに作品が置かれている。

途中で作りやめたかのような、これから石から産まれてくる途中のような作品もあったりして、彫刻という表現方法の不思議さを感じる。

あんな鉱物から、こんなになめらかで艶っぽいものが産まれてくるなんて。

クレマチスガーデンについては、すでにクレマチスの花の盛りは過ぎているのだけど、それでも美しい庭園は芝生の弾力を感じて歩くだけでも気持ちがいい。なんども書くけれど、こんな場所があるのだなあ・・って思ってしまう。

ヴァンジ彫刻庭園美術館
ヴァンジ彫刻庭園美術館

ヴァンジ彫刻庭園美術館から歩いて10分くらいのところに、ベルナール・ビュフェ美術館がある。

ビュフェは生前のうちに成功した芸術家で日本への来日経験もあるのだが、この場所にこんな大きな専門美術館があって大量の作品をみることができるのがすごい。

ベルナール・ビュフェ美術館

僕としては初期と後期の陰鬱とした(ように思えてしまう)雰囲気の作品はあまり好きになれない部分はあるのだが、全盛期のちょっとシニカルでシンプルなタッチの作品群はおしゃれで、いかにもフランス的な感じが好きだったりする。

由比パーキングエリアからの風景

そして、富嶽三十六景の特別展をやっていて、ちょうどここへ来るときにみた由比パーキングエリアからみた景色が富嶽三十六景の由比の景色と同じで、改めてびっくりする。

僕がみたときには富士山は雲に隠れていたけれど、すごい景色のシンクロがあって時間が飛ぶような面白さがあった。

それにしても、絵画に何千万円もかけたり、プレミアがつくというのはもはや絵のもっているパワーじゃなくて、お金の流れのバランスをみた投機的なものだったりするのが不思議な感じがしている。

しかし、それでも。アーティストという社会的な貢献ではなく、自分の命を削るかのように表現をしているものに対して、みんなが価値をつけてアーティストもふくめた社会をつくっているというのは人間がもっている美しい特色のひとつなのかもしれないな。

クレマチスの丘
住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘(スルガ平)347-1

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